光通信の原理
NT-55のNo.46「光電話の原理」という回路を組んでみたのですが動作しません.これはクリスタルイヤホンをマイク代わりに,その音声の強弱に応じて電球が点灯するというものなのですが電球がまったくつきません.

以前,電球を断線させたことがあるのでテスターで導通を調べてみたところ「また切れてる」.また2.5V 100mAのものに交換.「これでよし」と思ったのですがダメ.動きません.

電球ブロックを抜いてテスターの電流計を当てたところ4mAしか流れません.これでは点灯するはずがありません.電球側のトランジスタ不良ではないかということで,他の回路(No.55)を組んでみたところ,やはり動作しません.もうひとつのトランジスタを使えるように組替えたら動作しました.トランジスタも壊してしまったのでしょうか?

NT-55で使用されているトランジスタは2SC945(Q)です.最後のQというのは増幅率hFEのランクだそうで,型番はおなじでもhFEが200以上ないとうまく動作しないことがあるそうです.なにも考えずに2SC1815を未使用ブロックに組み込んでNo.55で使ってみましたがダメでした.

▽2SC1815のランク
O:70〜140、 Y:120〜240、 GR:200〜400、 BL:350〜700

わたしが使った2SC1815を見たらランクYでした.今回の場合,GRランクが必要だったそうです.ただし,NT-55用パーツとしては2SC1815はfT(トランジション周波数→高周波特性)が2SC945より低いためにラジオ回路には不向きだとか.

余談ですが,電子ブロックの回路って限られた部品で数十種類を編み出しているのでパズルみたいです.抵抗などのパーツを配線部品として使用するのは当たり前.抵抗値やコンデンサの容量をこれだけの種類に集約したのはすごいことのように感じます.

さて,不良部品がわかったので新しい2SC945を手に入れて交換しました.

NT-55ブロックの端子は半田のノリがいいので,古いトランジスタの足をラジペンかピンセットでつまんでコテを当て,半田が溶けたら足を軽く引けばいい.そのとき熱いコテ先を樹脂部や指に当てないよう注意してください.半田づけは両手の連携作業です.

3本とも外したら新しいトランジスタをおなじように足を広げて1本ずつコテを当てるだけですぐにつきます.このとき部品の足が飛び出すとブロックが浮いてしまうことがあるので,あとで切り落とすか,飛び出さないように半田づけしましょう.

交換後,No.55の回路で動作したので再度No.46を組んでみました.「今度こそ!」.動いてくれました.電子ブロックの回路を組んで動かないときはなにか原因があるのです.

  • ブロックの配置ミス(ダイオードの向きがちがう等)
  • 電池切れ
  • 自分で電源スイッチを入れておいてOFFのままになってる
  • 部品の不良

    部品の不良を疑うまえに,テスターで導通を調べたり,回路に正しく電圧がかかり,電流が流れるかどうかをチェックしましょう.電圧は部品と並列に,電流は部品と直列にテスターを当てます.これは(わたしには)たいへん勉強になります.

    そして怪しい部品が見つかったら,その部品を使う別回路を組んでみるのです.NT-55であればそれで特定できるのではないでしょうか.

    それにしても電球だけでなくトランジスタまで飛んでしまうとは...十中八九,わたしのせいでしょうね.みなさんはそんなご経験はないのでしょうか.「壊れたら直せばいい」なんて言っているから壊すのでしょうか.

    ■ 光通信の実験

    じつはこれがやりたくてNo.46の回路にこだわったのです.

    ほんとうの光通信はちがうのでしょうが,音声を電球で光に変えたものをまた音声に変えるのに太陽電池を使ってみてはどうでしょうか? 今回は田宮模型の「ソーラーバッテリー1.5V 400mA」を使って,光を受けてみました.

    そもそもNo.46はマイクがクリスタルイヤホンなのでお世辞にも感度がいいとはいえません.この回路でもふつうにしゃべっていたのでは電球がつきません.息を吹き込むと反応します.そうして点灯する電球のうえに太陽電池を載せます.太陽電池はアンプ内蔵スピーカーに直結してあります.

    子供たちを呼んで,クリスタルイヤホンに息を吹き込むと太陽電池がつないであるスピーカーから「ザーザー」という音が聞こえます.おぉ,すご〜い!

    「ザーザー」だけでは寂しいので,クリスタルマイクに向かってオカリナを吹かせました.ちゃんと電球も点灯します.さて,スピーカーから聞こえてきたのは...

    ザーザー...なんで?

    ちなみに,この太陽電池にテレビやビデオのリモコンを向けてボタンを押すとピポピポと音がします.赤外線の音です.デジカメでモニタすれば赤外線LEDが点灯しているのも見えます.これは子供にも受けます.

    じつは先にこれを試していて,リモコンのどのボタンを押してもおなじ音しかしないので子供が飽きてしまったのです.「ドレミでも鳴ればいいのにね」ということで,実際に音程の異なる音が太陽電池に伝わるのか実験してみたかったわけです.結果は「ザーザー」でしたが.

    ★ ★ ★

    「失敗は成功の母」といいますが,要するに意地の問題だと思います.あきらめたらそこでおしまい.「おかしい.納得いかない」「どうすればいいんだろう?」と悩んでいる親の姿を見ながら子供たちは成長するわけです.それがいいのかどうかはわかりません.「変な親父だったな」と言われるだけかもしれません.でも,それでもいいです.わたしはそれで楽しいのです.

    先日,下北沢の模型店サニーへ行ったとき,店頭にプラレールのガチャポンが置いてあるのに気づきました.ミニサイズの電車とかわいいレールが1本入っています.電子ブロックもガチャポンにしてはどうでしょう? 「つぎはどんな部品が手に入るか」という楽しみがあります.

    現代の電子ブロックは,子供時代に親に買ってもらって遊んだ世代が親になり「懐かしい」「自分の子供たちにも」と手に入れることが多いはず.だとすると,その電子ブロックを使って「いかに子供たちに魅せるか」というノウハウ(事例集)が必要だと思うのです.そんな一助になれば幸いです.

  • JUNE 2001